WILLPOWER 意志力の科学

WILLPOWER 意志力の科学

私の親は放任主義だったと思う。仕事に忙しくてそうするしかなかったんだな。また、お手伝いをしたりテストでいい点をとったりしたらおこずかいをもらえる、というシステムに対しては、本来やるべきことに金銭を発生させたら、金銭がないとやらない人になってしまうという考えをはっきり持っていた。自分もそれでいいかなと思っていたが、この本を読んだらちょっと改めざるを得ない。


この本の9章には、自己コントロールと育児・教育について書かれている。その中で重要だと思ったのは以下の三つ。

1.適切な罰(厳しさ<スピード<一貫性)
2.明確なルール作りとその実行
3.監視(見守る目)


1.適切な罰(厳しさ<スピード<一貫性)
子供への罰には、厳しさ・スピード・一貫性という三つの基本的な面がある。
まず、厳しさは重要ではない。むしろ厳しい罰は逆効果になる場合がある。
次にスピードは厳しさよりはるかに重要。遅くなればなるほど、過ちそのものや、そこに至るまでの心理プロセスを忘れてしまう。
最後にさらに重要で、かつ親にとって最も難しいのは、一貫性。理想的には、親は子供が悪さをしたら、そのたびに言い聞かせるべき。ただし控えめに、むしろ穏やかな言い方のほうがいい。断固とした態度でひとことかふたこと伝えればじゅうぶん。ただしそれは慎重に行い、例外を作らないという条件付きだ。


2.明確なルール作りとその実行
子供には明確なルールが必要だし、子供自身もそれを望んでいる。そしてルールに従う責任を負うことは健全な発達にとって極めて重要。ただしルールが役に立つのは、子供がそのルールを知り、理解している場合だけなので、ラインは明確であればあるほどよい。
よい成績をとったら現金をあげることをためらう、過正当化効果(内発的に動機づけられた行為に、外部から報酬などを与えると、動機づけが低減してしまう現象)に基づく意見がある。この本はそれに対して、以下のように書いている。1)好成績そのものが外部からの報酬 2)仕事に精を出して金銭を受け取るのは、大人にとって当然の事実なのだから、好成績をとってお金をもらうのは、その準備として妥当
子供に自己コントロールを教えるには、報酬の与え方が一貫していなければならない。事前に目標とその報酬を決めておくこと。特にティーンエージャーにはルールを作るプロセスに参加させる。


3.監視(見守る目)
シングル家庭の子供に影響を与えている明確な環境因子は、子供たちを見守る目が少ないということ。監視は自己コントロールを身につける上で重要な側面。
子供たちが放課後どこにいるか、自由な時間に何をしているか、どんな友人とつきあっているか、お金をどう使っているか、親がだいたい知っている家庭ではたとえ思春期の青少年でも自己コントロール能力は高い。
子供たちは監視される機会が増えるほど、自己コントロールを身につけるチャンスを得る。背筋を伸ばすよう注意する、文法的に正しく話す、楽器のレッスンを受ける、詩を暗誦する、お祈りを唱える、テーブルマナーに気をつける、悪い言葉を使わない、礼状を書かせる。なんであれ、子供たちに自己コントロール筋肉を鍛える練習をさせるのは役に立つかもしれない。


この章を読んで、人間のことってまだまだ把握されてなくって、育児や教育に対して絶対に正しいことなんてないから日々情報をとっていかなきゃならんのだなあと思った。世の中全般そう。把握されてないから、仕事だって、自分の健康だって、人付き合いだって、今の考え方ややり方でOKなんてことはない。すべてわかったなんてことはないことはわかった。